みみ
子供の難聴のチェック法と原因は?軽度でも早めの受診が大切な理由
子供の難聴のチェック法と原因は?軽度でも早めの受診が大切な理由
子どもに呼びかけても振り向かない、テレビの音量がいつのまにか大きくなっている…。
そんな様子を見ると、「もしかして耳が聞こえにくいのでは」と不安になりますよね。
痛みや発熱がないぶん気づかれにくく、様子を見ているうちに時間が経ってしまうことも少なくありません。
一方で、難聴の原因はさまざまで、治療によって改善が見込めるケースもあれば、早めの対応が言葉の発達を支える鍵になるケースもあります。
この記事では、子どもの難聴に気づくチェックポイントや原因、病院でおこなう検査、受診の目安についてご紹介します。
目次
子供の難聴に気づくチェックポイント
子供の難聴は、乳幼児期は自分から症状を伝えられないため、周囲の大人が普段の様子から気づく必要があります。
呼びかけへの反応や言葉の発達、テレビの音量など、日常生活の中に難聴のサインが隠れていることは少なくありません。ここでは、家庭で気づきやすいチェックポイントを4つ紹介します。
当てはまる項目がないか、お子さんの様子を振り返ってみてください。
呼びかけへの返事が少なくなる
名前を呼んでも振り向かない、返事をしないといった様子は、難聴のサインの一つです。
特に後ろから呼びかけたときや、テレビや音楽が鳴っている状況で反応が鈍い場合は、聞こえに何らかの影響が出ている可能性があります。
乳幼児の場合は、大きな音に対する反応が乏しいことも見逃せないポイントです。
物音に驚かない、目覚めないといった様子が続くときは、聴力の状態を確認しておくと安心です。日常のふとした場面での気づきが、早期発見につながります。
テレビや動画の音量が大きくなる
以前よりもテレビや動画の音量を上げるようになった場合、聞こえにくさが背景にあることがあります。
同じ部屋にいる家族が音が大きいと感じるほど音量を上げている、画面に顔を近づけて見ているといった様子も、聞き取りづらさを補おうとする行動の一つです。
また、会話の中で聞き返す回数が増えたり、聞き間違いが目立ったりする場合も注意が必要です。
こうした変化は徐々に進むため、家族が前と違うと感じた時点で意識して観察しましょう。
発音や言葉の発達に遅れがみられる
言葉の発達は、耳から入る音を聞き取り、まねをすることで進みます。
そのため難聴があると、「言葉をなかなか発さない」「発音がはっきりしない」といった形であらわれることがあります。
同年齢の子供と比べて話し始めが遅い、特定の音がうまく発音できない場合は、聞こえの状態を確認しておくと安心です。
言葉の発達には個人差があるものの、聞こえにくさが影響しているケースもあるため、気になる様子があれば早めに相談することをおすすめします。
片耳だけ聞こえが悪くなる
難聴は両耳だけでなく、片耳だけに起こることもあります。片耳の場合はもう片方の耳で音を聞き取れるため、日常生活で気づかれにくいのが特徴です。
- 呼びかけた方向に顔を向けない
- 特定の位置に座ると聞き取りにくそうにする
- 音がどこから聞こえているか分かりにくい様子がある
このようなケースがある場合は、片耳の聞こえを確認してみましょう。
片耳難聴は学校生活などで音の方向がつかみにくく、コミュニケーションに影響することもあるため、早めの気づきが大切です。
子供の難聴で考えられる主な原因
子供の難聴の原因は、生まれつきのものから、生まれた後の病気やストレスによるものまでさまざまです。
原因によって特徴や対応が異なるため、正しく理解しておくことが早期発見と適切な受診につながります。
ここでは、子供に多くみられる代表的な原因を4つ紹介します。
滲出性中耳炎が引き起こす難聴
滲出性中耳炎は、中耳に滲出液と呼ばれる液体がたまることで、音が伝わりにくくなる病気です。
強い痛みや発熱を伴わないことが多く、なんとなく聞こえが悪いといった軽い症状にとどまるため、気づかれにくいのが特徴です。
風邪や急性中耳炎の後に発症しやすく、子供の難聴の中でも比較的よくみられる原因の一つです。
薬による治療で改善することもありますが、長引く場合は鼓膜に小さな管を入れて中耳の換気を促す処置がおこなわれることもあります。
先天的に起こる感音難聴
生まれつき両耳に難聴がある子供は、約1,000人に1人の割合でみられます。このうち約6割は遺伝が関係しており、両親に難聴がなくても子供に難聴がみられるケースも少なくありません。
そのほか、妊娠中の風疹やサイトメガロウイルスなどの感染が、内耳の機能に影響を与えることもあります。
先天性の感音難聴は、新生児聴覚スクリーニング検査によって早期に見つかることが増えています。早い段階で発見できれば、その後の療育や補聴器の使用につなげやすくなります。
突発性難聴やおたふく風邪による難聴
ある日突然、片耳の聞こえが悪くなる場合は、突発性難聴やおたふく風邪による難聴が疑われます。
おたふく風邪にともなう難聴は、ウイルスが内耳に影響を及ぼすことで起こり、片耳の聴力がほとんど失われてしまうケースもあります。
現時点では、有効な治療法が確立されていないため、予防接種によって発症そのものを防ぐことが重要です。
突然の難聴は早期に治療を始めるほど回復が期待しやすいため、様子を見ずに早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
ストレスが誘因となる難聴
学校での人間関係や環境の変化など、精神的なストレスがきっかけとなって聞こえにくさがあらわれることもあります。
これは機能性難聴・心因性難聴と呼ばれ、検査では耳そのものに大きな異常がみつからないにもかかわらず、聞こえにくさを訴えるのが特徴です。
本人が自覚しにくく、周囲から聞こえていないふりをしていると誤解されることもあるため注意が必要です。
ストレスの原因を取り除き、安心できる環境を整えることで、聴力が回復に向かうケースも少なくありません。
また、最近は聴覚情報処理障害(ABD)/聞き取り困難症(LID)と言われる、言葉の認識がわるいために、呼びかけに答えないような疾患も報告されつつあります。
また、単に耳垢が溜まることによる難聴の場合もあります。
軽度の難聴は治療による改善が期待できる
軽度の難聴といっても、原因によって治療で改善する見込みは大きく異なります。中耳や外耳に原因がある場合は、薬や手術で聞こえが戻ることも少なくありません。
一方、内耳の感音難聴は自然に治りにくいこともあり、早期からの対応が重要になります。ここでは、原因ごとの見通しと、早期治療によって改善しやすいケースを解説します。
原因によって治る経過は異なる
難聴は大きく、音を伝える部分に問題がある伝音難聴と、音を感じ取る内耳や神経に問題がある感音難聴に分けられます。滲出性中耳炎や外耳道が狭くなることで起こる伝音難聴は、薬による治療や手術によって聞こえが改善する可能性があります。
一方、生まれつきの感音難聴やおたふく風邪による難聴は、内耳そのものの機能が低下しているため、自然に治ることは期待しにくいのが実情です。この場合は、必要があれば補聴器や人工内耳を用いて聞こえを補いながら、言葉の発達を支えていく対応が中心となります。
早期治療で改善しやすいケース
滲出性中耳炎による難聴は、薬物治療で液体の排出を促したり、鼓膜に小さな管を入れて中耳の換気を助けたりすることで、改善が期待できます。
外耳道が狭くなっていることが原因の場合も、手術によって聞こえが回復するケースがあります。
これらに共通するのは、症状が軽いうちに気づき、早めに治療を始めるほど回復しやすいという点です。
様子を見ているうちにと受診を先延ばしにせず、気になる症状があれば早期に耳鼻咽喉科で相談することが、改善への近道になります。
難聴の種類と程度を正しく理解する
難聴と一口にいっても、原因となる部位や程度によって聞こえ方は大きく異なります。正しく理解しておくことで、お子さんの症状を医師に伝えやすくなり、適切な検査や治療にもつながります。ここでは、難聴の分類と程度の目安について解説します。
伝音難聴と感音難聴の違い
難聴は、障害が起きている部位によって伝音難聴と感音難聴の2つに大きく分けられます。
伝音難聴は外耳や中耳など、音を伝える部分に原因がある難聴です。感音難聴は内耳や聴神経など、音を感じ取る部分に原因がある難聴を指します。
両者は原因や聞こえ方、治療による改善の見込みが異なるため、違いを理解しておくと安心です。
| 項目 | 伝音難聴 | 感音難聴 |
|---|---|---|
| 障害部位 | 外耳・中耳(音を伝える部分) | 内耳・聴神経(音を感じ取る部分) |
| 主な原因 | 滲出性中耳炎、慢性中耳炎、耳垢や異物による閉塞、鼓膜の穴など | 先天性の遺伝性難聴、おたふく風邪(ムンプス)による難聴、突発性難聴など |
| 聞こえ方の特徴 | 音がすべて均等に小さく聞こえる。大きな声であれば聞き取りやすく、自分の声が響く閉塞感を伴うこともある | 音量を上げても言葉の内容がはっきりせず、特に高い音域が聞き取りにくく聞き分けが難しい |
| 治療による改善 | 投薬・鼓膜切開・鼓膜換気チューブ挿入・鼓室形成術などで改善が期待できる | 治療での回復が難しく、補聴器や人工内耳による聞こえの補助が中心となる |
難聴の程度は4段階に分かれる
難聴は聞き取れる音の大きさによって、軽度・中等度・高度・重度の4段階に分けられます。
軽度の場合は小さな声や騒がしい場所での会話が聞き取りにくい程度ですが、程度が重くなるほど、大きな声や物音も聞き取りにくくなります。
程度によって必要な対応も異なり、軽度では会話環境の工夫で対応できることもありますが、高度や重度になると補聴器や人工内耳の使用が中心となります。
子供の難聴は程度に応じて言葉の発達への影響も変わるため、検査によって正確な程度を把握することが大切です。
病院でおこなう子供の聴力検査
子供の難聴が疑われるとき、耳鼻咽喉科では年齢や発達の段階に応じたさまざまな聴力検査がおこなわれます。
言葉で症状をうまく伝えられない乳幼児でも、音への反応を利用した検査によって聞こえの状態を確認できます。ここでは、年齢に応じた検査方法と、検査でわかることについて解説します。
年齢に応じた聴力検査の方法
新生児期には、産科医療機関で新生児聴覚スクリーニング検査がおこなわれます。
耳音響放射検査(OAE)や自動聴性脳幹反応検査(AABR)を用いて、眠っている赤ちゃんの耳に小さな音を聞かせ、内耳や聴神経の反応をとらえる検査です。
生後間もない時期から1歳頃までは、音に対する反応の様子を観察する聴性行動反応検査(BOA)がおこなわれることもあります。
おもちゃの音や声などを聞かせ、まばたきや振り向きといった反応から、聞こえのおおよその状態を確認します。
1歳半から3歳頃になると、音が聞こえた方向を振り向いたときに光る玩具などで応える条件詮索反応聴力検査(COR)や、音と映像を組み合わせて反応を促す視覚強化聴力検査(VRA)が中心になります。
3歳から4歳以降で指示に応じてゲーム感覚で答えられるようになると、遊戯聴力検査がおこなわれます。音が聞こえたらブロックを箱に入れるなど、遊びを通して聞こえを調べる方法です。
さらに成長し、4歳以降になると、大人と同じようにヘッドホンから聞こえた音の大きさや高さに応じてボタンを押す標準純音聴力検査(PTA)が可能になっていきます。
子供が眠ってしまったときや、年齢的に検査への協力が難しいときは、鎮静剤を使用したうえで聴性脳幹反応検査(ABR)や聴性定常反応検査(ASSR)をおこない、脳波の反応から聴力を推測する方法がとられることもあります。
検査でわかる難聴の原因や程度
耳音響放射検査(OAE・DPOAE)では、内耳にある蝸牛の働きを確認できます。音を感じ取る器官そのものに問題がないかを調べられるため、新生児のスクリーニングをはじめ幅広い年齢で用いられています。
聴性脳幹反応検査(ABR)や聴性定常反応検査(ASSR)は、音の刺激に対する脳波の反応をとらえる検査です。本人の返答に頼らず調べられるため、乳幼児の難聴の程度を把握するうえで欠かせません。
標準純音聴力検査(PTA)では、伝音難聴か感音難聴かの見分けに加え、難聴の程度も数値として把握できます。
先天性の難聴が疑われる場合には、遺伝子検査がおこなわれることもあります。2020年3月時点で19遺伝子154変異について保険診療での検査が可能になっており、難聴の原因を調べる手がかりの一つとなっています。
これらの検査を組み合わせることで、難聴の原因や程度を正確に把握し、その後の治療方針や補聴器・人工内耳の必要性を判断していきます。
難聴が疑われるときの受診の目安
子供の難聴のサインに気づいても、「もう少し様子を見てもいいのか」「早く病院に行くべきか」と迷う保護者の方は少なくありません。
ここでは、受診を検討する目安となる2つのポイントを紹介します。
症状が2週間以上続くとき
風邪をひいたあとに一時的に聞こえが悪くなることは珍しくなく、鼻や喉の炎症が落ち着くとともに自然に回復するケースもあります。
一方で、呼びかけへの反応の鈍さやテレビの音量の大きさといった症状が2週間以上続く場合は、滲出性中耳炎などの病気がかくれている可能性があります。
痛みや発熱がないために様子を見てしまいがちですが、聞こえにくい状態が長引くほど、言葉の発達や学習面への影響も心配になります。2週間を目安に症状が変わらない、あるいは悪化していると感じたときは、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
発達や学習への影響が心配なとき
学校や園での集団生活の中で、先生の指示が伝わりにくい、聞き返しが多くて会話がかみ合わない、といった様子が見られることもあります。
このような様子は、本人の性格や集中力の問題ととらえられてしまうことも少なくありません。ですが、背景に難聴がかくれているケースもあるため注意が必要です。
授業についていけない、友達とのコミュニケーションで聞き取りにくさを感じている、といった様子が見られるときは、聞こえの状態を一度確認しておくと安心です。早めに原因がわかれば、座席の配慮や補聴器の使用など、学校生活での対応策を早い段階から検討できます。
教えて院長先生!子供の難聴でよくある質問
子供の難聴について、よくある質問に院長先生がお答えします。
検査で脳波を調べることもあると聞きましたが、本当ですか?
聴力検査が難しい小児期においては鎮静して脳波をとるABRといった検査をすることもあります
小学生でも難聴を発症することはありますか?
原因としては中耳炎によるものか機能性難聴が多くをしめると思われます
まとめ
子供の難聴は、呼びかけへの反応の鈍さやテレビの音量の大きさなど、日常のちょっとした様子の変化から気づけることが少なくありません。
滲出性中耳炎のように治療で改善が見込める難聴もあれば、先天性の感音難聴のように早期の対応が言葉の発達を支える鍵となるケースもあります。
- 子供の難聴は聞き返しや発音の遅れなど、日常の様子から気づけるサインがある
- 原因によって治療で改善する場合と、補聴器などで聞こえを補う場合がある
- 症状が2週間以上続く、学校生活に影響が出ているときは受診の目安
軽度の難聴であっても、放置すると言葉の発達や学習面に影響することがあるため、気になる様子があれば早めに耳鼻咽喉科で相談することが大切です。
福岡市西区姪浜にお住まいで、お子さんの聞こえについて気になることがあるときは、まつばら耳鼻咽喉科へお越しください。
年齢に応じた聴力検査をおこない、難聴の原因や程度を確認したうえで、治療方針についても丁寧にご説明します。

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