耳鼻科コラム

子どもが耳を痛がるのは中耳炎?症状・見分け方・受診の目安を解説

夜中に突然「耳が痛い」と泣き出したり、風邪は治ったはずなのに耳をしきりに触っていたり…。

そんな様子を見ると、「これって中耳炎?」「朝まで待って大丈夫?」と不安になりますよね。

小さな子どもほど症状をうまく言葉にできず、親が気づいたときにはつらさが進んでいることもあります。

一方で、痛みや熱が目立たず、気づかれにくいタイプの中耳炎もあるため注意が必要です。

この記事では、中耳炎とは何か、子どもが中耳炎をくり返す理由や自宅でできるセルフケをご紹介します。

子どもの中耳炎とは?どんな病気か

「中耳炎」という言葉はよく聞くけれど、実際にどんな病気なのか、なぜ子どもに多いのかまできちんと知っている方は意外と少ないかもしれません。

耳の痛みや発熱でつらそうにしているわが子を見ると、「このまま様子を見ていいの?」「病院に行くべき?」と不安になるパパやママも多いのではないでしょうか。

ここからは、中耳炎とはどのような病気なのかを詳しく解説します。

中耳炎の主な種類(急性・滲出性・慢性)

中耳炎には、大きく分けて「急性中耳炎」「滲出性中耳炎」「慢性中耳炎」の3種類があります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

急性中耳炎

急性中耳炎は、風邪のあとに耳管を通って細菌が中耳に入り、急に強い耳の痛みや発熱を起こす感染症です。

鼓膜が赤く腫れたり、膿がたまったりするのが特徴で、子どもに多くみられます。

場合によっては、鼓膜が自然に破れて耳だれが出ることもあります。

滲出性中耳炎

滲出性中耳炎は、急性中耳炎のあとや、アレルギーなどで耳管の通りが悪くなったときに起こりやすい中耳炎です。

中耳に粘り気のある液体がたまるものの、強い痛みはほとんどありません。

その代わり、聞こえにくさや耳がつまった感じが長く続きます。

数か月以上放置すると、難聴の原因になることもあるため注意が必要です。

慢性中耳炎

慢性中耳炎は、急性中耳炎を何度も繰り返したり、鼓膜の穴がふさがらないままになったりして、炎症が慢性化した状態です。

膿のような耳だれが続くことがあり、骨の破壊や真珠腫の形成といった合併症を起こすリスクもあります。その場合、手術が必要になることもあります。

これらの中耳炎は、耳管の働きや感染の広がり方によって経過や対応が異なります。

だからこそ、早めの受診と適切な治療がとても大切です。

中耳炎はなぜ子どもに多いのか

子どもに中耳炎が多いのは、耳の構造と免疫機能がまだ発達途中にあることが主な理由です。

耳と鼻をつなぐ「耳管」は、子どもでは大人より太くて短く、角度も水平に近い形をしています。

そのため、風邪をひいたときに鼻の中に増えた細菌やウイルスが中耳へ逆流しやすくなるのです。

これが炎症を起こしやすい原因の1つとなっています。

実際、生後6か月までに約半数、2歳までに9割超の子どもが一度は中耳炎を経験するとも言われています。

背景にあるのは、のどの奥にある咽頭扁桃(アデノイド)が大きく、耳管の出口をふさぎやすいことも関係しています。

また生後6~12か月ごろは、母体からもらった免疫(移行抗体)が減ってくる時期で、自分の免疫力はまだ十分ではありません。

肺炎球菌などの細菌を見つけて排除する免疫である「IgG2抗体」も未熟なため、細菌感染を起こしやすい状態です。

加えて、保育園への通園、兄弟姉妹がいること、家族の喫煙、おしゃぶりの使用なども感染リスクを高める要因になります。

こうした条件が重なりやすい幼児期に、中耳炎の発症が最も多くなります。

子どもの中耳炎の主な症状

「中耳炎の症状」と聞くと、強い耳の痛みや高い熱を思い浮かべる方が多いかもしれません。

ですが実際には、はっきりした痛みが出ないタイプや、気づきにくいサインから始まることもあります。

年齢によって現れ方が違ったり、子ども自身がうまく不調を伝えられなかったりするため、見逃されてしまうことも少なくありません。

ここでは、保護者の方が気づきやすいポイントを中心に、代表的な症状を解説していきます。

よくある初期症状(耳の痛み・発熱・ぐずり)

子どもの急性中耳炎では、まず耳の痛みがいちばんつらい症状として現れます。

鼓膜の奥にある中耳に、耳管を通って細菌やウイルスが入り込み、膿がたまることでズキズキとした強い痛みが生じるのです。

痛みは夜に強くなることが多く、耳を触ったり引っかいたりする様子が見られることもあります。

あわせて発熱することも多く、38度以上の高熱が出ることもあります。

中耳の炎症が体全体に影響するためで、風邪の症状と重なることも少なくありません。

痛みと発熱のために食欲が落ち、機嫌が悪くなる様子もよく見られます。

乳幼児の場合、「耳が痛い」と言葉で訴えられないため、ぐずって泣き止まなかったり、抱っこを嫌がったりする形でサインが出ることがあります。

いつもと違う不機嫌さや、耳を気にするしぐさが目立つときは注意が必要です。

熱がない・痛みが弱い中耳炎もあり

滲出性中耳炎は、急性中耳炎のような強い耳の痛みや高い発熱がほとんどなく、親御さんが気づきにくいタイプの中耳炎です。

中耳の中に膿ではなく粘り気のある液体が少しずつたまるため、鼓膜がゆっくり押され、耳のつまった感じや軽い違和感だけが出てきます。

子ども自身はうまく言葉で表現できず、耳をよく触ったり、耳元で音がゴロゴロするようなしぐさを見せたりすることがあります。

主な症状は聞こえにくさです。呼んでも反応が鈍い、テレビの音量を大きくしたがる、声が少し大きくなるといった変化が見られるため注意深く見守りましょう。

痛みが目立たないため「風邪のあとだから」と見過ごされやすく、放置すると難聴が続き、ことばの発達や学習に影響する可能性もあります。

背景にあるのは、耳管の働きの未熟さやアレルギー、風邪をくり返すことなどです。

特に2~5歳ごろの子どもに多く、定期健診で見つかるケースも少なくありません。

病院を受診すべき目安

子どもの耳の不調は、軽そうに見えても中で炎症が進んでいることがあります。

「このくらいで病院に行っていいのかな」「もう少し様子を見ても大丈夫?」と迷っているうちに、症状が悪化してしまうケースも少なくありません。

特に小さな子どもは、自分のつらさをうまく言葉で伝えられないため、保護者の判断がとても大切になります。

ここでは、中耳炎の受診目安と夜間や休日でも対応したほうがよいケースを整理してご紹介します。

すぐ受診した方がよい症状

子どもの中耳炎で特に注意が必要なのは、強い耳の痛みや38度以上の高い熱が続く場合です。

これらは中耳の中に膿がたまり、鼓膜が強く押されている状態が疑われます。

中耳炎の痛みは夜に強くなりやすく、泣き叫んだり耳をたたいたりする様子が見られることもあります。

こうした状態を放置すると、鼓膜が破れて耳だれが出たり、合併症を起こしたりするおそれがあるため注意が必要です。当日中の受診をおすすめします。

また痛みを訴えていない場合でも耳だれが出てきたときは、やや早めの対応が必要です。

黄色や血の混じった膿が耳から流れ出るのは、鼓膜に穴があいたことを示すサインで、痛みは落ち着いていると思われますので、耳だれを清掃して、少し様子をみることもできます。

ただ、痛み止めで一時的に楽になっても、原因の治療を行わなければ慢性化につながります。

夜間・休日受診すべきケース

夜間や休日に子どもの耳の痛みが急に強くなり、痛み止めを飲んでも泣き止まない場合は、救急受診を検討しましょう。

中耳の中に膿がたまって鼓膜が破れそうな状態の可能性があり、数時間のうちに耳だれが出たり、腫れが悪化したりすることがあります。

早めの鼓膜チェックと抗菌薬による治療が必要な場面です。

特に38度以上の高熱が続き、ぐったりして顔色が悪い様子があれば、脱水や全身への感染のリスクも考えられます。

中耳炎の治療と治るまでの流れ

子どもの急性中耳炎の治療では、まず鼓膜の状態を見て、症状の重さを評価します。

軽い場合は、痛み止めで様子を見ることが基本です。

3日ほどで自然に良くなるケースも多く、抗菌薬が不要なこともあります。

一方で中等症以上の場合には、サワシリンRなどの抗菌薬を高用量で5~10日間使用します。

痛みや発熱が強いときには、消炎鎮痛剤を併用することもあります。

膿がたまって痛みが強い場合には、外来で鼓膜切開を行うこともあります。

鼓膜に小さな穴をあけて膿を外に出すことで、痛みが軽くなります。

数日で鼓膜は自然にふさがるため、過度な心配は不要です。

子どもの中耳炎は多くの場合、治療開始から1~3日ほどで痛みや発熱は落ち着いてきます。

ただし、中耳の中に残った液体が完全に吸収されるまでには1~3か月ほどかかることもあるため注意が必要です。

そのため、再診で鼓膜の透明度や動きを確認しながら経過を見ていきます。

途中で薬をやめてしまうと再発したり、滲出性中耳炎へ移行しやすくなったりします。

医師の指示どおりに最後まで続けることが大切です。

家庭でできるケアと再発予防

中耳炎の治療は病院だけで完結するものではなく、日々の生活の過ごし方も回復や再発予防に大きく関わります。

「お風呂に入ってもいいの?」「園には行かせて大丈夫?」「何に気をつければ悪化しない?」といった疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。

正しいケアを知っておくことで、症状を長引かせず、くり返しを防ぐことにつながります。

ここからは、家庭でできる具体的なケアと注意点を詳しく解説します。

生活上の注意(入浴・登園・外出・NG行動)

入浴については、熱が高いときや耳の痛みが強いときは控え、症状が落ち着いていれば短時間で湯冷めしないように入れましょう。

耳に水が入っても中耳炎が悪化することはほとんどありません。

ただし、耳だれが出ているあいだは、耳の中に水がたまらないよう、シャワーの勢いを弱めるなどの工夫が必要です。

発熱やぐったりした様子がなく、機嫌がよければ可能です。

ただし、人混みでは風邪をもらいやすく、再発のきっかけになることもあります。

回復途中の時期は無理をせず、短時間の散歩程度にとどめておくと安心です。

子どもの中耳炎を予防するポイント

予防の基本は、手洗い・うがいの習慣づけ。

鼻水が出てきたら、鼻吸い器などを使ってこまめに吸い取り、鼻炎を長引かせないことも大切です。

また、風邪の初期に早めに耳鼻咽喉科を受診し、必要な治療を受けること。

処方された抗菌薬は途中でやめず、指示どおり最後まで飲み切ることも重要です。

さらに、インフルエンザや肺炎球菌などの予防接種を活用することで、再発のリスクを下げることにつながります。

中耳炎になったときに避けたい行動

子どもが中耳炎になったときに避けたい行動もいくつかあるので確認しておきましょう。

特に以下の行動は、症状を悪化させる原因になります。

中耳炎になったときに避けたい行動
  • 耳を強く引っ張る
  • 綿棒や耳かきを深く入れる
  • 自己判断で点耳薬や市販薬だけで様子を見る
  • 処方された抗菌薬を途中でやめてしまう

また、鼻をすする癖があると中耳に炎症が続きやすくなります。

鼻をかむときは片側ずつやさしくかむことが基本です。

風邪や鼻水が長引く場合には、早めに耳鼻咽喉科でのチェックを受けてください。

子どもの中耳炎でよくある質問とその回答

子どもの中耳炎でよくある質問とその回答を院長先生にお答えいただきます。

中耳炎は自然に治ることもありますか?

気づかないうちに中耳炎になり、自然と治っていることもあります。

うつりますか?兄弟に広がりますか?

中耳炎がうつることはありません

まとめ

子どもの中耳炎は、耳の構造や免疫の未熟さから幼児期にとても起こりやすい病気です。

強い耳の痛みや発熱が出る急性中耳炎だけでなく、痛みがほとんどなく聞こえにくさだけが続く滲出性中耳炎もあり、気づかれにくいこともあります。

まとめ
  • 子どもの中耳炎はめずらしくないが、くり返しやすい病気
  • 痛みがなくても聞こえにくさが続く場合は要注意
  • 強い痛み・高熱・耳だれがあれば早めの受診が安心

中耳炎は放置すると難聴や慢性化につながることもあるため、早めの受診と適切な治療が重要になります。

福岡県西区姪浜にお住まいで、子どもが耳を痛がったり、耳を触ったりする様子が見られるときはまつばら耳鼻咽喉科へお越しください。

まつばら耳鼻咽喉科では、小児の中耳炎を迅速に対応します。

治療はもちろんのこと、予防策やセルフケアについてもアドバイスできますので、お気軽にご相談ください。

ABOUT ME

【執筆・監修】まつばら耳鼻咽喉科 院長・医学博士 松原 尚子

日本耳鼻咽喉科学会/専門医・指導医、身体障害者福祉法第15条指定医、補聴器認定医

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