子どもの病気
おたふくかぜとは?症状・合併症・ワクチンと登園の目安を解説
「耳の下が腫れている」「熱が出てきた」そんなお子さんの様子に、おたふくかぜかもしれないと不安になっていませんか。
おたふくかぜは多くの場合1〜2週間で回復しますが、症状が軽くても難聴などの合併症を引き起こすことがあります。
また感染力が強く、保育園や幼稚園での集団感染も起こりやすい病気です。
この記事では、おたふくかぜの症状・うつる期間・登園再開の目安・ワクチンについて耳鼻咽喉科の医師が解説します。
目次
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)とは
「耳の下がパンパンに腫れている」「熱が出てきた」そんなお子さんの様子に、おたふくかぜかもしれないと不安になった方も多いのではないでしょうか。
おたふくかぜは医学的には「流行性耳下腺炎」とよばれ、ムンプスウイルスへの感染によって起こる病気です。
1~6歳ごろにかかりやすく、保育園や幼稚園で集団感染が起こりやすいのも特徴です。
多くの場合は1~2週間ほどで自然に回復しますが、合併症を引き起こすと難聴などの重い後遺症が残ることもあります。
「軽症で終わるだろう」と油断せず、正しい知識を持っておくことが大切です。
感染経路は、せきやくしゃみに含まれるウイルスを吸い込む飛沫感染と、ウイルスのついた手で口や鼻に触れる接触感染の2つです。
感染力が強く、症状が出る前からうつる可能性があるため、気づかないうちに広がりやすい病気でもあります。
おたふくかぜの症状
おたふくかぜの潜伏期間は2~3週間ほどと比較的長く、感染してもすぐには症状が出ません。症状が出た場合も、1~2週間ほどで自然に回復することがほとんどです。
発熱
感染すると突然発熱し、1~6日程度続くことがあります。
ただし発熱がみられないケースもあるため、熱がないからといっておたふくかぜを否定できないことを覚えておきましょう。
耳下腺の腫れ
おたふくかぜで最も目立つ症状が、耳の下からあごにかけての腫れです。
腫れは痛みをともなうことが多く、ものを飲み込むときや酸っぱいものを食べたときにうずくような痛みを感じることもあります。
最初は片側だけ腫れ、1~2日後にもう片側が腫れてくるケースが一般的です。腫れのピークは発症後1~3日で、その後3~7日かけて引いていきます。
なお耳下腺の腫れはおたふくかぜ以外の病気でも起こることがあります。腫れが続く場合や症状が気になる場合は、耳鼻咽喉科へご相談ください。
症状が出ない「不顕性感染」とは
おたふくかぜに感染しても、約30%は症状がまったく出ない「不顕性感染」となります。
症状がなくてもウイルスを排出しているため、知らないうちに周囲にうつしてしまうことがあります。
「おたふくかぜにかかった記憶がない」という方でも、実は不顕性感染だった可能性があります。抗体があるかどうかは血液検査で確認できます。
おたふくかぜの合併症
おたふくかぜは軽症で終わることも多い病気ですが、合併症を引き起こすことがあります。
「熱も大したことないし大丈夫」と思っていても、合併症は症状の重さに関係なく起こることがあるため注意が必要です。
ムンプス難聴(最も注意が必要な合併症)
おたふくかぜの合併症の中で、特に注意してほしいのがムンプス難聴です。ウイルスが血液を通じて内耳に入り込み、聴覚をつかさどる機能を障害することで起こります。
怖いのは、一度発症すると回復がほぼ見込めない点です。
日本では年間約700~2,300人がムンプス難聴を発症しており、全患者の0.1~1%(100~1,000人に1人)の割合でかかるとされています。
また症状が軽くても、不顕性感染(症状が出ない感染)でも難聴になることがあります。「症状が軽かったから大丈夫」とは言い切れないのです。
おたふくかぜにかかった後は、お子さんがきちんと聞こえているかどうか確認するようにしましょう。
難聴になっても痛みがないため、小さなお子さんは自分では気づけないことがほとんどです。片耳だけのケースが多く、親も気づきにくいため注意が必要です。
【参考】流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の原因ウイルスの受容体構造を解明(ウイルス学分野 栁雄介教授・橋口隆生准教授) | 研究TOPICS | 九州大学 医学部・大学院医学系学府・大学院医学研究院
その他の合併症
おたふくかぜにかかると、ムンプス難聴以外にも次のような合併症が起こる可能性があります。
無菌性髄膜炎
診断された患者全体の1~2%ほどの割合で発症し、入院加療を要することもある重要な合併症です。
激しい頭痛や嘔吐、けいれんなどが主な症状として現れることがあります。
脳炎
約0.02~0.3%の割合で発症するまれな合併症です。しかし、重症化すると後遺症が残ったり、死亡につながったりするケースもあります。
膵炎
約4%の割合で起こることがあり、上腹部から背部にかけて強い痛みをともなうことがあります。
精巣炎・卵巣炎
思春期以降の感染では特に注意が必要です。
約20%~40%の割合で精巣炎が、約5%の割合で卵巣炎が発症するとされています。
大人になってから感染すると、男性の不妊症などの原因になることもあるため、決して軽視できない合併症です。
保育園・幼稚園はいつから行っていい?
お子さんがおたふくかぜにかかったとき、「いつから保育園・幼稚園に行っていいの?」と悩む親御さんは多いです。
おたふくかぜは学校保健安全法で第2種感染症に定められており、出席停止の基準が明確に決まっています。
出席停止の基準
おたふくかぜにかかった場合、
耳下腺・顎下腺・舌下腺の腫れが出てから5日が経過し、かつ全身状態が良好になるまでは出席停止となります。
これは保育園・幼稚園・小学校いずれも同様です。
登園再開の目安
腫れが完全に引いていなくても、腫れ始めから5日が経過して元気な状態であれば登園できます。ただし、腫れが引いていない状態で登園すると周囲に不安を与えることもあるため、担任や園に事前に確認しておくと安心です。
きょうだいや家族への感染に注意
おたふくかぜの感染力は強く、家庭内でも広がりやすいです。感染していても症状が出ない不顕性感染が約30%あるため、症状がないきょうだいや家族もすでに感染している可能性があります。
ワクチン未接種のきょうだいがいる場合は特に注意が必要です。感染が疑われる場合は早めに耳鼻咽喉科へご相談ください。
おたふくかぜの診断と治療
「耳の下が腫れてきた」と気になったら、早めに医療機関を受診しましょう。
診断の方法
おたふくかぜは、症状と周囲の流行状況をもとに診断されます。耳下腺の腫れ方や発熱の有無、周囲での感染状況などを確認します。
必要に応じて血液検査で抗体値を調べたり、唾液や尿などを採取して遺伝子検査を行ったりすることもあります。
治療の方法
現在、おたふくかぜに有効な抗ウイルス薬はありません。
発熱や痛みには解熱鎮痛剤を使用しながら、安静に過ごすことが基本です。痛みが強い場合は患部を冷やすと楽になります。
食事は酸っぱいものを避け、飲み込みやすい柔らかいものを選びましょう。多くの場合、2~3日で腫れのピークを迎え、1~2週間ほどで自然に回復します。
耳鼻科と小児科どちらに行くべきか
「おたふくかぜかも」と思ったとき、耳鼻科と小児科どちらに行けばいいか迷う親御さんも多いのではないでしょうか。
耳鼻咽喉科がおすすめなケース
耳の下や顎の腫れが主な症状である場合は、耳鼻咽喉科への受診をおすすめします。
耳鼻咽喉科では耳下腺や顎下腺の状態を専門的に診察できるため、おたふくかぜかどうかの判断や、他の病気との鑑別がより詳しく行えます。
またおたふくかぜの合併症であるムンプス難聴は耳の専門的な検査が必要なため、難聴が心配な場合も耳鼻咽喉科への受診が適しています。
小児科がおすすめなケース
高熱が続く、全身状態が悪い、頭痛や嘔吐など髄膜炎が疑われる症状がある場合は、小児科への受診が適しています。
おたふくかぜはワクチンで予防できる
おたふくかぜを予防するために最も効果的な方法は、ワクチン接種です。
ワクチンの効果
おたふくかぜワクチンを接種すると、90%以上に抗体ができ、感染・発症リスクを大幅に下げることができます。万が一感染した場合も、症状が軽く済むことが多いです。
日本では現在、おたふくかぜワクチンは任意接種となっており、接種費用は自己負担です。
そのため接種率は30~40%程度にとどまっており、毎年多くの子どもがおたふくかぜにかかっています。
世界の多くの国では定期接種として2回接種が一般的になっており、流行がほぼなくなっている国もあります。
接種のタイミング
1歳から接種が可能です。日本小児科学会では、集団生活に入る前までに2回の接種を推奨しています。1回目を1歳、2回目を就学前(5~6歳ごろ)に受けるのが目安です。
自治体によっては助成金が出る場合もあるので、お住まいの市区町村に確認してみましょう。
副反応について
ワクチン接種後2~3週間後に、軽い発熱や耳下腺の腫れなど軽いおたふくかぜのような症状が出ることがあります。
また数千人に1人の割合で無菌性髄膜炎を発症することがありますが、おたふくかぜに自然感染した場合と比べて発症率は低く、症状も軽く済むことがほとんどです。
ワクチン接種による副反応のリスクより、接種しないことで自然感染した場合のリスクの方が高いと考えられています。接種について不安な点があれば、受診時にお気軽にご相談ください。
よくある質問とその回答
おたふくかぜは一度かかれば二度とかかりませんか?
かかる場合もあるようですが、極めて稀です
ワクチンを打っていてもおたふくかぜにかかりますか?[3.1]
2回接種にて99%感染しないと言われています。
まとめ
おたふくかぜは軽症で終わることも多い病気ですが、ムンプス難聴など回復が難しい合併症を引き起こすことがあります。
症状の重さに関係なく合併症が起こる可能性があるため、「軽そうだから大丈夫」と判断せず、早めに医療機関を受診することが大切です。
- おたふくかぜは耳下腺の腫れから5日経過し全身状態が良好になるまで登園・登校停止
- 症状が軽くてもムンプス難聴になることがあるため、かかった後は聞こえの確認
- ワクチン接種が最も効果的な予防法。日本小児科学会は2回接種を推奨している
福岡市西区姪浜にお住まいで、お子さんのおたふくかぜや耳・鼻・のどの症状が気になる方は、まつばら耳鼻咽喉科へお越しください。
「受診すべきか迷っている」という段階でもお気軽にご相談ください。

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