みみ
子どもの耳掃除は必要?耳垢が溜まりやすい理由や間違った方法を解説
ふと子どもの耳を覗いたら、びっくりするような耳垢を発見!
耳掃除してあげたいけど子どもが嫌がったり、「耳掃除は必要ない」という話を聞いたことがあったり、いったいどうしたらいいのか迷っているパパやママも多いのではないでしょうか。
また耳掃除をしていたら、不意に子どもが動いてヒヤッとすることもあります。
子どもの耳掃除は、耳鼻科で快く対応してくれるので、心配な方は耳鼻科への受診がおすすめです。
今回は、子どもの耳掃除の正しい方法や注意点、耳鼻科で耳垢をとってもらう方法などについて解説します。
目次
子どもは耳垢がたまりやすい!その理由は?
子どもは大人に比べて新陳代謝が活発で、皮膚の細胞が入れ替わるスピードも速いため、耳あか(耳垢)がつくられる量が多くなる傾向があります。
また、耳の構造にも子ども特有の特徴があります。
幼児から小学生くらいまでの外耳道(がいじどう:耳の入り口から鼓膜までの通り道)は、大人に比べて細く、カーブが強い形をしているため、自然に耳垢が外へ押し出されにくく、内部に耳垢が溜まりやすくなるのです。
さらに、「湿性耳垢(しっせいじこう)」と呼ばれる、やや湿ったタイプの耳あかの子どもでは、粘着性があるため耳の壁にくっつきやすく、より耳垢が蓄積しやすくなります。
このような理由から、幼児期から学童期にかけては耳垢がたまりやすい時期といえます。
自宅での様子を観察しつつ、定期的に耳の中をチェックしてあげることが大切です。
子どもの耳垢の種類
耳あか(耳垢)には「乾性耳垢」と「湿性耳垢」の2つのタイプがあります。
乾性耳垢は、カサカサと乾いた粉のような状態で、白っぽい色をしているのが特徴です。日本人の約70~80%はこのタイプにあてはまります。
一方、湿性耳垢は、粘り気があってベタベタした質感を持ち、褐色や黄色っぽい色をしているのが特徴です。ヨーロッパやアフリカでは、この湿性タイプの人が多く見られます。
耳垢のタイプは「耳垢腺」という分泌腺の量によって決まり、分泌が少ないと乾性、多いと湿性になります。
これは遺伝によって決まるため、成長の過程で乾性から湿性に変わったり、その逆になることはありません。
子どもの場合、新陳代謝が活発なため耳垢の量が多くなりがちです。
特に湿性耳垢の子どもは、耳の壁にべったりと張り付いてしまうことが多く、家庭での耳掃除が難しいケースも少なくありません。
子どもは耳垢がたまりやすい!その理由は?
小さなお子さんが魚の骨をのどに刺してしまったときは、まず水やぬるま湯を口に含ませて、やさしくうがいをさせてみましょう。
浅い位置にある小さな骨なら、水の流れで自然に取れることがあり、家庭でできる安全な応急処置として有効です。
ただし、勢いよく強くうがいをさせると、のどの粘膜を傷つけてしまう危険があるため注意しましょう。
数回試しても骨が取れず、子供が痛みや違和感を訴えるときは、無理をせずに耳鼻咽喉科を受診してください。
子どもの耳掃除はしない方がよい?
基本的に、耳掃除は頻繁に行う必要はありません。
耳あか(耳垢)は、耳の中の古い皮膚やほこりなどを自然に外へ排出するために作られているためです。
奥から入り口方向に表皮が移動する働きがあり、耳垢は自然と排出されます。
ただし、子どもの場合は外耳道(耳の入口から鼓膜までの通り道)が細く、代謝も活発なため、大人に比べて耳垢がたまりやすい傾向があります。
そのため、2週間~1か月に1回ほどのペースで、耳の入り口付近だけを優しく掃除してあげる程度で十分です。
特に湿性耳垢の子どもは、耳あかがべったりと張り付きやすく、家庭で無理に取ろうとすると耳の中を傷つけてしまう危険があります。
乾性タイプでも奥まで取り除こうとするとトラブルの原因になることがあるため、「奥まで無理に取らない」ことが大切です。
もし耳あかが多くて見えにくい、掃除が難しいと感じる場合は、自宅で無理をせず、耳鼻咽喉科で安全に取り除いてもらいましょう。
子どもの耳掃除の仕方
子どもの耳掃除は、耳の入り口から1cmほどの浅い範囲だけをやさしく拭き取るだけで十分です。奥まで取ろうとする必要はありません。
耳かきは先が硬く、耳の中の皮膚を傷つけてしまう恐れがあるため、ベビー用の柔らかい綿棒を使うのがおすすめです。
耳掃除のときは、耳たぶを少し後ろに引っ張って耳道をまっすぐにし、耳垢が見える範囲だけを丁寧にぬぐい取りましょう。
乾いたカサカサタイプの耳垢は、綿棒にベビーオイル・ワセリン・オリーブオイルなどを少量つけてから拭くと、より取りやすくなります。
注意したいのは、奥まで綿棒を入れないことです。
奥まで差し込むと、耳垢をかえって押し込んでしまい「耳垢栓塞(じこうせんそく)」と呼ばれる詰まりの原因になったり、外耳炎などのトラブルにつながるおそれがあります。
子どもの耳掃除は無理をせず、見える範囲だけのケアを心がけましょう。
子どもの耳掃除をする際の注意点
子どもの耳掃除をする際には、以下の点に注意しましょう。
- 耳の奥まで綿棒を入れない
- 周囲を確認してから耳掃除をする
- 綿棒は子どもの手の届かない場所にしまう
それでは1つずつ見ていきましょう。
耳の奥まで綿棒を入れない
子どもの耳掃除で最も大切なポイントは、「耳の奥まで綿棒を入れない」ことです。
綿棒を深くまで差し込んでしまうと、耳の中のデリケートな鼓膜(こまく)を傷つける危険があります。
また耳垢を奥へ押し込んでしまい、耳垢栓塞(じこうせんそく:耳垢が耳の穴をふさいでしまう状態)や鼓膜の損傷・外耳炎などのトラブルを引き起こす可能性もあるためです。
とくに子どもの外耳道は大人よりも細く、皮膚の新陳代謝も活発なため、奥まで掃除しようとすると逆効果になることが少なくありません。
もし耳垢が奥にあって綿棒では届かない場合は、無理に取ろうとせず耳鼻咽喉科を受診してください。
耳鼻咽喉科を受診すれば、専用の器具を使って耳の中を傷つけずに安全に耳垢を除去できるだけでなく、耳のトラブルを早期に見つけることにもつながります。
周囲の安全を確認してから行う
子どもの耳掃除を行うときは、周囲の安全をしっかり確認してから始めましょう。
きょうだいやペットが近くにいると、思わぬ接触で子どもが急に動いてしまい、綿棒で耳の中を傷つける危険があります。
また、テレビやスマホの音があると注意がそれやすいため、耳掃除の前に消しておくことも大切です。
さらに、子どもの頭が動かないように、しっかり抱きかかえたり、安定した場所に座らせたりして体を固定することもポイントです。
こうした環境を整えることで、事故やけがを防ぎ、安全に耳掃除を行うことができます。
綿棒は子どもの手の届かない場所にしまう
綿棒は、必ず子どもの手の届かない場所に保管しましょう。
小さな子どもは好奇心から綿棒を耳に入れてしまうことがあり、耳の奥を傷つける事故が多く報告されています。
最悪の場合、鼓膜を損傷したり外耳道を傷つけて出血する危険もあります。
安全対策としては、引き出しの奥や高い棚など、子どもが簡単に触れられない場所にしまうことが大切です。
こうすることで、誤って耳に挿入してしまう事故を防ぎ、安心して耳掃除ができる環境を整えられます。
また、綿棒を使うときは必ず大人がそばで見守り、子どもが一人で扱わないように注意することも重要です。
耳のケアは「大人が安全に行うもの」と覚えておきましょう。
子どもの耳垢は耳鼻科でとってもらおう
子どもの耳垢は、耳鼻咽喉科で専門的に除去してもらうのが安心・安全な方法です。
家庭で耳掃除をしようとすると、耳の奥を傷つけてしまったり、耳垢をかえって奥へ押し込んでしまうリスクがあります。
耳鼻科では専用の器具や内視鏡を使って安全に耳垢を取り除くことができます。
特に湿性耳垢の場合は、家庭での掃除が難しく、無理に取ろうとすると痛みや炎症を引き起こすおそれもあるため注意が必要です。
また、耳鼻科で耳垢を取ってもらうことは、単に耳をきれいにするだけでなく、中耳炎や外耳炎など耳の病気の早期発見・早期治療にもつながります。
子どもの耳は非常にデリケートです。
3ヶ月に1回程度、定期検診を兼ねて耳垢の状態をチェックしてもらうとよいでしょう。
耳垢のタイプや量に応じた適切なケアを受けることで、耳の健康をしっかり守ることができます。
耳鼻咽喉科で行う耳垢除去
耳鼻咽喉科での耳垢除去は、子どもの耳を安全にケアするための専門的な方法です。
医師はまず、耳鏡や内視鏡を使って耳の中の状態を丁寧に観察し、耳垢の位置や性状を確認します。
そのうえで、ピンセットや専用の吸引管などを用いて慎重に耳垢を除去します。
硬くて奥深く入り込んだ耳垢の場合、いきなり取り除こうとすると痛みや鼓膜の損傷につながるおそれがあるため、薬液で耳垢を柔らかくしてから除去することもあります。
また、耳垢が多量にたまっている場合は、一度にすべてを取ろうとすると刺激や圧力変化によってめまいやふらつきが起こることがあるため、医師の判断で数回に分けて除去することもあります。
子どもの耳は大人よりも細く繊細で、わずかな刺激でもトラブルにつながることもあります。
だからこそ、専門の器具・技術・安全管理を備えた耳鼻咽喉科でのケアが欠かせません。
子どもの耳掃除にまつわるトラブル
子どもの耳掃除は以下のような思わぬ事故や疾患につながることもあります。
- 耳垢塞栓
- 外傷性鼓膜穿孔
- 外耳炎
- 外耳道湿疹
それでは1つずつ見ていきましょう。
耳垢塞栓(じこうそくせん)
耳垢塞栓とは、大量の耳垢がたまって耳の穴(外耳道)をふさいでしまっている状態のことです。
痛みを感じることはあまりありませんが、耳が詰まったような違和感が出たり、ひどくなると聞こえにくさ(難聴)の症状が現れることもあります。
この状態は特に湿性耳垢の人に起こりやすい傾向がありますが、乾性耳垢の人でも、たとえばプールやお風呂のあとに耳垢が水分を含んで膨張し、耳の穴をふさいでしまうことがあります。
耳垢塞栓を自宅で無理に取ろうとすると、奥へ押し込んでしまったり耳の中を傷つけてしまうおそれがあるため、耳鼻咽喉科で安全に除去してもらうことが大切です。
外傷性鼓膜穿孔(がいしょうせいこまくせんこう)
耳掃除の途中で、綿棒や耳かきが誤って奥まで入り、鼓膜を突き破ってしまうことがあり、これを「外傷性鼓膜穿孔」といいます。
鼓膜が破れると、強い痛みや出血、聞こえにくさ(難聴)といった症状が現れます。
小さな穴であれば、多くの場合は自然にふさがって治癒しますが、損傷の程度によっては手術が必要になることもあります。
「もしかして鼓膜を傷つけたかも」と感じたときは、自己判断せずにできるだけ早く耳鼻咽喉科を受診してください。
適切な処置を受けることで、感染症の予防や聴力の回復が期待できます。
また、こうした危険な事故を防ぐためにも、耳掃除の際は周囲の安全をしっかり確認し、落ち着いた環境で行うことが大切です。
外耳炎(がいじえん)
耳掃除をやりすぎると、耳の中の皮膚を傷つけてしまい、外耳炎を引き起こすことがあります。
耳の中の皮膚は非常に薄くデリケートで、ちょっとした刺激でも傷がつきやすく、そこから細菌が侵入して炎症が起こるのです。
特に子どもの場合は皮膚がさらに敏感なため、注意が必要です。
また、耳掃除だけでなく、プールや水遊びのあとに発症するケースも少なくありません。
症状としては、かゆみや耳だれだけでなく、出血や化膿がみられたり、耳が詰まったような違和感や聴こえにくさを感じることもあります。
子どもが耳をしきりにかゆがっていたり、耳だれが出ている場合は、自己判断せずにできるだけ早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
早期に治療を行うことで、症状の悪化を防ぎ、早く回復につなげることができます。
外耳道湿疹(がいじどうしっしん)
耳掃除のしすぎは、耳の中の皮膚に刺激を与え、外耳道湿疹を引き起こす原因になることがあります。
主な症状は強いかゆみで、子どもが耳をしきりに触ったり、かきむしってしまうことも少なくありません。
かきすぎると皮膚がさらに傷ついて外耳炎へと進行したり、耳だれが出ることもあります。
また、一度治っても耳の皮膚が敏感になっているため、ちょっとした刺激で再発を繰り返すケースも多く見られます。
子どもが耳をかゆがったり、耳の中に違和感を訴えるときは、早めに耳鼻咽喉科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
子どもの耳掃除についてよくある質問とその回答
子どもの耳掃除でよくある質問とその回答を院長先生にお答えいただきます。
自宅でイヤークリーナーや洗浄液などを使って耳掃除をするのは大丈夫ですか?
さまざまなリスクがあり、あまりおすすめはしません。
耳掃除だけで耳鼻咽喉科を受診しても問題ないのでしょうか。
全く問題ありません。むしろおすすめしたいです。
片耳だけ耳垢がよく溜まるのは問題がありますか?
片耳のみ溜まりやすいかたは沢山おられますが、特に問題はありません。
まとめ
子どもの耳掃除は意外とデリケート。無理に取ろうとすると思わぬトラブルや病気につながることもあります。
また、きれいにしているつもりが逆に耳垢を奥に押し込んでいたというケースも少なくありません。
- 耳掃除をし過ぎると炎症の恐れがあるので注意が必要
- 耳掃除をするときは綿棒を奥まで突っ込まない
- 子どもの外耳道は狭いので耳鼻科で耳掃除をするのがおすすめ
耳垢が溜まっていないか心配なら、耳の定期検診も兼ねて、月に1回ほど耳鼻科で診察してもらうのがおすすめします。
福岡市西区姪浜にお住まいで、子どもの耳垢が気になる方は、まつばら耳鼻咽喉科にお越しください。
まつばら耳鼻咽喉科では、子どもの耳掃除だけでも対応できますし、合わせて耳の異常がないかの診察もいたします。
耳垢くらいでなどと思わず、耳にまつわることならお気軽にご相談ください。

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